現代の日本で課題とされている健康問題の一つが「生活習慣病」です。生活習慣病は、偏った食事を続けていたり運動不足が続いていたりと、良くない生活習慣を長年続けることで起こる病気の総称です。生活習慣と言ってもさまざまなものがありますが、中でも食生活は大きな割合を占めています。
今回は生活習慣病を予防するための取り組みとして、食生活の見直しに焦点を当てて考えていきたいと思います。
近年問題となっている「生活習慣病」の詳細
生活習慣病にはさまざまな病気がありますが、代表的なものでは肥満症や糖尿病、脂質異常症、高血圧症と言ったものがあります。肥満症とは、肥満によって健康障害を合併している状態を指します。糖尿病は、血液中のブドウ糖が慢性的に高くなる病気です。脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪など、脂質の値が高い状態です。高血圧症は、常に血圧が高く、血管に大きな負担がかかっている状態です。
これらの生活習慣病は、それ自体が痛みや苦痛を引き起こすことはありませんが、放置していると動脈硬化のリスクにつながります。動脈硬化が重症化すると、寝たきりや認知症などの原因になる他、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす可能性もあります。日本人に多くみられる死因には、この動脈硬化に関連している病気が多数あります。
生活習慣病の原因となる食生活の乱れ
生活習慣病の原因としては、食習慣の乱れや不規則な生活、過度のストレス、飲酒・喫煙などの習慣、運動不足など、いろいろなものがあります。中でも食習慣の乱れは、肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症の全てに直結しています。生活習慣病のリスクとなる食事習慣には、以下のようなものがあります。
朝ごはんを食べない
昼や夜に過度なカロリー摂取をしてしまうリスクが高いです。
時間が不規則
体のリズムが作られにくく、間食しがちになってしまう方も多いです。
外食の機会が多い
外での食事は意外と高カロリーなものに偏りがちです。
早食いの癖がある
食べ過ぎてカロリーの過剰摂取につながるリスクがあります。
間食、夜食の習慣
カロリー過多や肥満の原因になります。
濃い味つけ、揚げ物が好き
塩分や脂質を過剰に摂取し、高血圧や脂質異常を招きます。
生活習慣病を改善するための食事の見直し
食事の見直しで大切なのは、塩分と脂質を摂り過ぎないようにすることです。その上で、不足しがちな食物繊維やカリウムをしっかり摂るようにしましょう。塩分や脂質を過剰に摂取することは、生活習慣病のリスクを高め、動脈硬化を促します。
塩分の注意点
スナック菓子、カップ麺などは多くの塩分を含んでいます。また、干物やアサリなどの魚介類も意外と塩分が多いので注意しましょう。そのほか、ハムやベーコン、ウインナーなどの加工食品も塩分が多く含まれています。
脂質の注意点
特に気をつけたいのは、動物性脂肪です。脂身の多い肉、バター、生クリーム、チーズなどの乳製品も摂り過ぎには注意しましょう。一方、食物繊維とカリウムは動脈硬化を予防する働きがあるため、積極的に取り入れていくことが大切です。
食物繊維を多く含む食べ物
玄米やとうもろこしなどの穀類、大豆やあずき、納豆、お殻などの豆類、さつまいもや里芋などの芋類、椎茸やしめじ、えのきなどのキノコ類、その他多くの野菜に含まれます。
カリウムを多く含む食べ物
ひじき、わかめ、昆布などの海藻類、バナナや干し葡萄、ドライマンゴーなどの果物に多く含まれます。
食事の時間も改善のポイント!
私たちが朝起きて夜眠るように、体の中にも周期があります。これを日内変動といい、日内変動によって栄養の効果に変化が現れたり、摂る栄養によって日内変動が乱れたりします。日内変動を取り入れた栄養学を「時間栄養学」と言い、この時間栄養学では、22時~4時が最も脂肪として蓄えられやすい時間とされています。そのため、22時までに夕食を済ませることで、過剰な脂肪の蓄積を防ぐことができます。また、夜は野菜やスープなど軽めの食事を摂るようにして、朝と昼にしっかりエネルギーを蓄えることも大切です。
保健機能食品もうまく活用しましょう
すでに血圧や血糖値が気になっているという方は、保健機能食品を活用するのもおすすめです。保健機能食品とは、国が定めた基準に従って、食品の機能性を表示したものです。保健機能食品は、以下の3つに分類されます。
特定保健用食品
通称「トクホ」の名称で知られています。コレステロール値や血糖値が高めの人に働く機能性が認められている食品です。
特定栄養機能食品
一定のビタミン、ミネラルなどの栄養成分を含む食品です。
特定機能性表示食品
国の審査は不要の、健康への機能を表示した食品です。
こうした食品を使用する場合は、自分の体の状態に合わせたものを選んで活用することが大切です。食事習慣の改善は、今からでも変えることができる取り組みです。まずは食生活を振り返って改善点を見つけることから始めてみましょう。




