日々を忙しく過ごす現代人にとって、一度立ち止まって健康を考えることは非常に重要なことです。その機会として設けられているのが、企業での一般健康診断や自治体が行う各種定期検診、人間ドックなどの健康診断です。皆様の中には、健康診断の大切さは理解しつつもなかなか時間が作れないという方も多いのではないでしょうか。会社にお勤めの方は一年に一度の健診がありますが、自営業の方や主婦の方は足が遠のいてしまっているかもしれません。今回はそんな皆様へ、健康診断の大切さを改めてお伝えできればと思います。
健康診断の目的
健康診断にはさまざまな種類がありますが、いずれも「自分が健康なのか、病気のリスクがないかを確認する」ということ、そして「生活習慣病のリスクを知り、改善方法を知る」「大きな病気の早期発見・早期治療につなげる」といった目的があります。何も症状がなく健康だと思っている時でも、健康診断を受けることで血圧が高いことに気付いたり、血液検査で血糖値やコレステロール値の高さを知ったりする機会になります。高血圧症や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は、自覚症状がないまま進行することも多くあります。放置していると動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしてしまう恐ろしい生活習慣病を予防するためにも、健康診断が欠かせません。
また、健康診断の胃のバリウム検査や内視鏡検査、便潜血検査などでは、胃がんや大腸がんなど早期治療が必要不可欠な病気も自覚症状がない段階で見つけることができます。
健康診断を受けることのメリット
健康診断を受けることの大きなメリットは、以下の通りです。
- 生活習慣病のリスクを知り、予防ができるようになる
- 脳卒中や心筋梗塞など、自分では気付けない大きな病気を見つけられる
- 病気の早期発見により、長期入院や長期治療など大きな負担を避けられる
- 保険指導を受けることで、正しい健康改善の方法やダイエットについて学ぶことができる
健康診断は、今の自分の状態を知るためだけのものではありません。生活習慣の問題点を自覚し、改善に取り組むきっかけにもなります。また、病気の早期発見によって命を守ることができるようになります。
早期発見・早期治療の重要性
数ある病気の中でも、生活習慣病とがんは早期に見つけて早期に治療することが非常に重要です。糖尿病は自覚症状がない上、進行すると糖尿病性腎症を起こし血液透析など負担の大きな治療が必要になってしまいます。がんに関してはもっと極端で、早期であれば治療ができたのに進行してしまったために完治の手段がなくなってしまった、ということもあり得ます。別の臓器へ転移して末期がんになってしまうと、治療自体が困難になってしまうこともあります。こうしたリスクを少しでも軽減するためにも、定期的に健康診断を受けて早期発見・早期治療に努めていきましょう。
健康診断を受けないことのリスク
健康診断を受けないことのリスクは、結論から言うと「不調に気づくことができない」ということです。突然の心筋梗塞、脳卒中、末期がんの宣告…これらは、いつ誰に起こるかわかりません。気になる症状もなく毎日を当たり前に健康に過ごしている人が、ある日突然倒れて病院へ行くと、すでに手の施しようがない大病を患っていた、という話はドラマの中だけの作り話ではないのです。こうした悲劇に見舞われないためにも、健康なうちから定期的に体の検査を行い、少しでも不調が見つかったら改善するという習慣をつけておくことが大切です。
オプションも活用して幅広い検査を
人間ドックや健康診断は、オプションでより詳しい検査を受けることができます。例えば、胃がんに関して徹底した検査を受けたいという場合には、健康診断のオプションからピロリ菌検査を選択します。検査を受けて結果が陽性であれば、ピロリ菌の除菌治療を行いましょう。ピロリ菌は胃がん発症のリスクとなるため、早めに見つけて除菌することで発症リスクを軽減することができます。
大腸がんに関しては、大腸がんのもとになる大腸ポリープができていないかを確認することが大切です。大腸内視鏡検査を追加してポリープの有無を確認し、ポリープが見つかったらその場で切除することで、大腸がんの予防につながるでしょう。そのほかにも、体の器官ごとにさまざまなオプションがありますので、気になるものや興味のあるものはぜひ活用していきましょう。
年齢に合わせた健康診断
健康診断の項目は年齢によって異なります。
35歳未満
- 身体測定(身長、体重、BMI、腹囲)
- 内科診察
- 視力・聴力測定
- 血圧測定
- 尿検査(尿糖、尿蛋白)
- 胸部X線(レントゲン)検査(20・25・30歳の節目年齢)
35歳以上
- 血液検査
- 肝機能検査
- 心電図検査
- がん健診の追加
40歳以上
- 特定健診(メタボ健診)の追加
35歳を節目に検査内容が変化しますので、年齢に合わせて検査を受けるようにしましょう。