睡眠に対して「なかなか寝つけない」「頻繁に目が覚める」「寝ても寝ても疲れが取れない」といったお悩みを抱えてる方は少なくありません。こうした不調は、実は睡眠時無呼吸症候群である可能性が考えられます。起床してすぐに倦怠感を感じる、頭痛がする、顎が痛いといった、睡眠時無呼吸症候群でよくある症状も、それらの不調が睡眠によるものとは気付かないかもしれません。特に一人暮らしの方は、自分の寝ている間のことを知る術がなく、違和感に気づけないこともあります。
睡眠時無呼吸症候群の大きな特徴は、睡眠時の「いびき」と「無呼吸」にあります。
「もしかして睡眠時無呼吸症候群かも」と気になった場合には、明確な原因や改善のための方法、治療の選択肢について考えてみることをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群症のセルフチェック
以下のような症状が気になった場合には、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
一度クリニックで相談してみるようにしましょう。
家族からの指摘
- 睡眠中にむせている
- 大きないびきをかいている
- 睡眠中に呼吸が止まる
自覚症状
- 熟睡感がない
- 日中強い眠気に襲われる
- 寝汗がひどい
- 起床時の口の渇きがひどい
- 起床時の頭痛・頭重感
- 朝の目覚めが悪い
- 肥満傾向がある
- 夜中にトイレに起きる回数が増えた
- 生活習慣病に罹患している
- 顎が小さく二重顎になっている
睡眠時無呼吸症候群症の原因と種類
睡眠時無呼吸症候群には、いくつかの原因が考えられます。
一つ目は、脳や神経、心臓に病気を抱えている方が発症する中枢型の睡眠時無呼吸症候群。
二つ目は、のどが閉じてしまうことで起こる閉塞型の睡眠時無呼吸症候群。
そして三つ目が、どちらも併発している混合型の睡眠時無呼吸症候群です。
多くの患者様は、この中の二つ目に該当しています。例えば、肥満体型である方、舌が大きい方、扁桃腺が大きい方、鼻炎や鼻中隔弯曲などの鼻の病気を抱えている方、あごが後退している方などは、寝ている時に器官が塞がってしまうことで呼吸が止まっている可能性があります。また、睡眠時無呼吸症候群は高血圧や糖尿病といった生活習慣病と密接な関連があり、心筋梗塞や脳卒中などの循環器系の病気を発症する危険性があります。
口呼吸を鼻呼吸へ改善する方法
睡眠時無呼吸症候群の方は、口呼吸になっていることが多くみられます。何かに集中している時や眠っている時に口を開けているという人は、口呼吸になっている可能性があります。口呼吸には、外部から雑菌やホコリなどを吸い込んでしまったり、免疫機能に影響を及ぼしてしまったり、歯並びが悪くなったりとさまざまなリスクがあります。もちろん睡眠時無呼吸症候群という観点からみても、咽頭がより狭くなるため上気道が閉塞しやすく、いびきがひどくなるという問題があります。
自分が口呼吸になっていると感じた場合には、早めにクリニックで相談してみることをおすすめします。歯科医院や口腔外科、内科では専用のマウスピースを使用するなど、鼻呼吸を促進する方法をアドバイスしてくれるでしょう。起きた時に口の中がカラカラになっていたり、乾燥で喉を痛めやすかったりする方は要注意です。
睡眠時無呼吸症候群症の改善方法
睡眠時無呼吸症候群は、原因に合わせた治療方法を取り入れる必要があります。肥満によって気道が閉塞している方は、まず生活習慣の改善をすることで減量を目指しましょう。
専用の治療器具を用いて治療を行う方法としては、マウスピースなどの口腔内装置と呼吸をサポートする装置があります。マウスピースタイプの口腔内装置は、一定条件の下で健康保険の適応となります。
そして重度の睡眠時無呼吸症候群の方は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)という呼吸のサポート装置を使用します。専用の装置を鼻に装着し、マスクとホースを通して空気を送り続けることで気道を塞がらないようにするという治療方法です。持続陽圧呼吸療法は治療効果が高く、無呼吸やいびきがひどい方でも改善が望めます。持続陽圧呼吸療法を行う場合も、専用の検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適応になります。
睡眠の質を改善して健康を維持しましょう
睡眠は、私たちの健康に欠かせない大切なものです。健康的な生活の基盤となるため、不調はしっかり解消していくようにしましょう。特に睡眠時無呼吸症候群は、体を休めるはずの睡眠時間を使って体を痛めつけているような状態です。少しでも「もしかして」と思うことがありましたら、ぜひ早めにクリニックで相談するようにしてください。睡眠時無呼吸症候群を診断するスクリーニング検査は、自宅でできる簡易検査です。早めの対処で質の良い睡眠を取り戻すようにしましょう。